ゴーストハント旧校舎怪談は怪異現象を解明するため霊能力者たちが原因を調査し、除霊を行いますが一向に怪異現象が終わりません。それどころか激しくなっていきます。ナルたちメンバーはこの怪異現象を解決できるのでしょうか?
ゴーストハント、旧校舎怪談でのキャラクターの相互関係は?
ゴーストハント旧校舎怪談では主人公の女子高生、谷山麻衣はじめ主要なキャラクターが次々と登場します。怪異現象解決のため集まった霊能力者たちの人間関係もそれぞれ興味深く描かれています。
作品の始めは主人公谷山麻衣とナルの人間関係ですが、谷山麻衣がナルを初めて見て超イケメンだと思い好意を抱きます。しかし接していく中でナルの性格の悪さに呆れ最初に抱いた感情は変わっていきます。呼び方も渋谷(ナルの名前)さんからナルシストのナルに変わっていきます。
そして他の霊能力者の人間関係はぼーさん(滝川法正)と巫女さん(松崎綾子)が登場してすぐに口喧嘩を始めます。巫女さんの霊能力をけなすぼーさんに対して巫女さんも負けじと主張します。そういう場面が何度か描かれています。
また、巫女さんが除霊を行った際、窓ガラスが突然割れて除霊式に出席していた校長はじめ数名の教師が破片を浴びて怪我をする事態に。霊媒師の原真砂子がそれでも「旧校舎には霊はいませんわ」と断言しました。それに対して巫女さんは霊がいるからこういう状況になった(除霊は失敗したが)と反発します。お互いに霊能力を認めない状態になります。
ナルはナルでぼーさんや巫女さんに対して忖度なく見下す態度をとります。こういう状況でただひとりエクソシストの神父ジョン・ブラウンだけは他の人をけなすこともなく、優しい態度をとり続けます。谷山麻衣はジョンにだけはほっとした思いになります。
この人間関係の状況から殺伐とした、ほぼ碌でもないキャラクターたちというイメージになってしまいそうですが、話が進むにつれそれぞれのキャラクターたちの個性と魅力と本当は人を思いやる人物たちであることがわかってきます。
こういう人たちが現実に居るなら一緒に仕事をしてみたい気持ちになります。残念ながら架空の存在なのでどうにもなりませんが、少なくともこの作品ゴーストハントを読んでホラー&ミステリーの怖さとワクワク感と、登場人物に対しての親近感が溢れるほど出て来ます。自分自身の夢ではこの小説が実写化されれば少しはリアルに近づけたかなとも思うのですが。
ゴーストハント、旧校舎怪談 怪異現象の原因は?
ゴーストハント旧校舎怪談で起こる怪異現象は先にも書きましたが除霊式の最中に窓ガラスが突然割れたり、ビデオカメラに人影らしき物が何度か写り込んだり、足音や校舎から発せられる物音、人の声が聞こえるなど霊現象なのか自然現象なのか、わからずじまい。
そんな中、巫女さんが除霊をした直後にガラス窓が割れたり、ジョンブラウンが除霊をしている最中に天井の一部が崩れ落ちたり霊が反発しているような現象が起きます。ナルが機械のデータを分析しても何一つ異常が表れず、ナルを中心に霊能力者全員がミーティングを始めます。
そこから導き出された結果、地盤沈下が原因であるとナルは断定します。これで解決したかのように思えた矢先、谷山麻衣たちが話をしていた実験室が突然木が割れるような音や外側から激しく叩くような音と振動が起こり窓ガラスが割れ出します。間一髪実験室外にいた他のメンバーに助けられ難を逃れます。
しかし異常が起きたのは実験室のみ。あれほど激しい現象だったのに他の教室は何ら異常なし。この状況にナルの地盤沈下説は吹き飛んでしまい、自信喪失からか姿を隠してしまいます。読んでいた僕からすれば地盤沈下説で解決されたら何それ?で納得できない心情で終わってしまいそうです。
ゴーストハント、旧校舎怪談の怪異現象の正体は?
しかしナルは隠れて居たのではなく独自に分析、推理していました。ある日、麻衣とジョンに、教室中央に椅子を1脚置き、誰も入られないよう封印させました。そして校長はじめ数名の先生と霊能力者たち及び黒田女史を別の教室に集め、暗くした教室で謎めいた儀式を行います。全員一点の光を見つめるだけ。翌日録画されたビデオカメラを見ると教室中央に置いてあった椅子がひとりでに飛び跳ねるように部屋の隅まで移動します。麻衣もぼーさんたちもやはり霊がいると言いますが、ナルは平然とこれはポルターガイストであることを示唆します。
そしてそれが出来るのが黒田女史だけであることも。人の注目を集めたい、霊能力があればみんなに注目される、そう言う無意識が黒田女史に一種の超能力を使わせることになりました。怪異現象は黒田女史の起こした超能力が原因だと判明したわけです。
怪異現象の原因がわかり事件は解決。集まった霊能力者たち一同はそれぞれ散っていきます。谷山麻衣もやっと助手の仕事から解放されると安堵しました。これでナルのきつい言葉や嫌味を聞かなくてすむ。でも一方でもう、ナルの顔を見ることがないと思うと一抹の寂しさが起こります。数日後ナルから麻衣に電話がかかってきます。麻衣はナルからだとわかると、また会ってくれるんじゃないかなと淡い期待をします。しかし電話内容はバイト代を郵送したからというものでした。事務的な話に諦めかけた時、ナルが「麻衣の学校はバイト禁止か?」と聞いてきます。麻衣は「禁止ではないよ。」と言うと「だったらウチでバイトしないか?」との返事。
ここから麻衣が正式に渋谷サイキックリサーチ(SPR)の一員となります。事件調査中は麻衣に対して冷たく言い放ったり馬鹿にしたような言動をとっていたナルですが麻衣の事が何故か気になるようです。人としての優しさもちゃんと持っていたんだと思うとほっとします。いくら顔が良くても性格が悪いだけでは読んでいても恐らく好きになれないキャラクターで終わってしまいそうでしたが。
この旧校舎怪談と言うタイトルからしていかにも心霊現象やら悪霊とやらが原因として出て来るイメージですが、結果は超能力によるポルターガイスト現象だったわけでそれはそれで推理も楽しめましたし、霊的現象を思わせる箇所も多分にあり、ホラー的ミステリー的に充分楽しめました。何度も書きますが何を言ってもキャラクターの魅力の良さに尽きます。
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